個人的な暇つぶしの一環として、来年以降の流れを綴ってみたいと思います。お時間のある方のみお付き合いください。
大統領選挙でカラマ・ハリスを圧倒的な支持率でトランプが抑えたことにより、今後市場は明確なトランプシフト、つまりトレンドの流れが変わっていくことになります。この話を考えるときに共和党をはじめとした保守派のメンバー≪ヘリテージ財団≫が作成した資料からアメリカの抱えている問題を整理しなくてはなりません。主要なところとしては① 財政破綻問題 (債務問題)② 不法移民問題 ③ 所得税、法人税問題 ④ 教育省廃止 などがありますが、個人的にこれらのなかで財政破綻問題が重大な意味合いを持つと考えます。
まず、歴史的にみればドルと金は兌換できましたが1971年のニクソンショック以後、これが不可能となってドルが暴落したことがありました。これに対してアメリカは1974年に強力な軍の力を用いてサウジアラビアとペトロダラー協定を締結した結果、石油を購入する際はドルを使用しなくてはいけなくなり、これ以降ドル需要が世界中で拡大し今日に至っております。しかしながら50年経過した2024年にサウジアラビアは米国との契約を延長しないことを決定し石油決済は基本的にどの国の通貨でも可能となりました。また、ウクライナ戦争が発生した際にロシアの海外資産を凍結させたのがトリガーとなりBRICSを中心とした国々は米国から距離を置き始め、米国債を売却する国が増加することになりドルの暴落の可能性が指摘され始めました。これは有名な話でFRBのパウエル議長、モルガンチェースのダイモンCEOやトランプ、イーロン、ロバート・キヨサキなどが公で発言しており、この不確実性が齎すリスクヘッジから2023年以降ゴールドが急激に買われて価格が上昇し続けておりました。今回イーロンを中心に無駄な予算を省きたい政府効率化省(D.O.G.E)が作られた経緯も財政破綻問題と関係があります。
この問題と向き合うのは簡単ではないですが興味深いのが共和党が2024年7月に上院に提出したビットコイン法です。これは米国政府が一定期間内に準備資産としてビットコイン総供給量の約5%を備蓄するもので購入したビットコイン(以下、「BTC」)は最低20年間保有し、将来の連邦債務に充当するというものです。BTCの総供給量が2100万枚でそのうちの多くはアクセスする≪カギ≫がなくなっている為、米国政府が購入すると決まれば各国政府も協調する流れが起きるのに加えて、円やドルのように無限に発行できる通貨とは異なり限られた枚数の当該資産を各企業や世界中の投資家が購入していく流れは避けられず、価格の上昇に拍車をかけることになると思われます。MicroStrategyは2024年12月10日の段階でBTCを420億ドル相当保有しており、CEOのMichal Saylorは1BTCの価格が2045年に1300万ドル(約20億円)に到達すると発言しております。この流れが今後進む局面では、BTCをはじめとした暗号資産銘柄には数年単位での上昇相場をつくる可能性があると考えられ、銘柄としてもMicroStrategyやメタプラネットのようなBTC保有数が多いという判り易い銘柄だけでなく法整備とともに暗号資産の抜本的な価値が見直されるなかでMara、Clean Spark、HUT8、Iris Energy、Coinbase、Blockなどは正当な評価を受け、長期相場のなかで大きく上昇をしてくれる可能性が高いと考えます。
しかしながら2024年9月時点で米国の債務は約35.46兆ドルとなり2025年の利払いが1兆ドルを超えるとも言われている状況で負債は以降も更に拡大している為、BTCを準備資産として米国が購入したとしても問題が解決するわけではありません。トランプは2024年12月の大統領就任前の段階で各国に対しドルを使用するのを止める国には100%の関税を課すというアナウンスをしております。現状の米国はそれくらい追い込まれており、これはコロナ禍、バイデン政権下で蓄積された債務であるもののトランプ政権に代わって以降も大きなリスクとなると考えられます。つまり相場は暴落の局面を常に想定しておく必要があり日本株も危険な状況と隣り合わせという認識が不可欠となります。ドルの債務問題が国際的な広がりを見せる局面になれば長期での下落相場も起こり得るでしょうが、直近動き出している市場として宇宙、量子コンピュータ、ロボット関連からは目が離せません。下落相場は発生する前提で買いで入れる余力を常に意識し、ロング目線とショートポジションを入れ替えながらセンス良く立ち回ることが求められます。
また、トランプ新政権において注目しなくてはならないのがシオニストを含めた強力なイスラエル派閥の存在です。トランプは親イスラエル派として有名ですが大統領補佐官のスティーブン・ミラー。環境保護局長官のリー・ゼルディン。国防長官のピート・ヘグセス。国土安全保障長官のクリスティ・ノーム。政府効率化省のビベック・ラマスワミ。これ以外にも多くの親イスラエル派がいるなかで中東におけるアメリカのプレゼンスは大きくなると考えられ、アメリカがグレーターイスラエル構想を掲げるネタニヤフ政権をバックアップしていくのであれば中東エリアを軸としたイランやロシア、中国との短期的な衝突が増加していく可能性を秘めていると考えるべきです。
このような有事のリスクは世界中で拡大していく可能性があり、市場を考慮する中で中東情勢を注視するだけでなく台湾有事も頭に入れておく必要があるのではないかと思います。これは実際に戦争をするということだけなく、緊張関係が煽られるという意味合いも含まれます。台湾有事・封鎖が起きる可能性が限りなくないという意見には理解が得られますが(「中国は嫌々ながら世界覇権を握る」「ディープ・ステイトとの血みどろの戦いを勝ち抜く中国」共に副島隆彦)、昨今の「日本人を嫌いな中国人が増加している」「台湾有事は日米有事」など衝突を煽るマスメディアの報道から市場の下落局面が幾度となく訪れることは避けられないでしょう。これはトランプ政権の面々からも想像されます。トランプからは戦争を毛嫌いする発言が繰り返されておりますが、今回のトランプ政権には反中強硬派として大統領補佐官のキャロライン・レヴィット。大統領上級顧問のピーター・ナバロ。通商代表部代表のジェイミーソン・グリア。商務長官のハワード・ラトニック。国務長官のマルコ・ルビオ。国連大使のエリス・ステファニク。中央情報局(CIA)長官のジョン・ラトクリフなどがおります。2016年にトランプが就任するまでは中国とアメリカはズブズブの関係でしたが直近の半導体戦争をはじめ米中間の明らかなハレーションが生じている為、日本近郊の台湾尖閣問題に起因する衝突が作られていく可能性はあると考えられます。自民党が「防衛特別法人税」として4%を黒字企業に対して追徴していく背景には何があるのでしょうか。中国寄りと言われる石破政権の発言も逐一注視する必要があります。
このようななか、四国勢としてエネルギー問題も考慮しておかなくてはいけません。生成AIの技術が進歩し世界中でデータセンターが建設ラッシュとなり、膨大なデータ処理を行う為に電力不足が指摘された結果、データセンターの郊外化、原発再稼働、原発新設、AIを活用した節電、半導体工場の稼働やカーボンニュートラルを意識したうえでの系統用蓄電池の活用までが政府主導で現在動いております。これは中国・アメリカを中心に起きていることの延長にあるという理解が必要ですが、AIに重きを置くトランプ新政権のリー・ゼルディンの発言や維持管理に膨大な電力を必要とするBTCに関してトランプが「アメリカをBTC大国にする」と発言していることからも、政権移行後も原発を含めたあらゆるエネルギーを考慮したうえでトランプが政権の舵を取る可能性は高いと想像されます。
電力を安定的且つ確実に確保する流れはデータセンターが急増し半導体の工場を積極誘致している日本でも同様で、付け加えて言えば発電事業者と認識される系統用蓄電事業については有事を含めた未来の四国の市場を考えるなかでも個人的には重要なカギを握ることになるのではないかと考えています。蓄電事業者に対して長期脱炭素電源オークションの形式が採用されたとしても四国の中で一定数の系統用蓄電所を確保することは四国の安全保障上、必要なものになるだろうという認識です。愛媛県では中村知事が半導体企業誘致に50億円を支給する奨励制度を2024年9月に発表しました。外資系半導体企業の誘致に関しては批判も多くみられますが(「IT戦争の支配者たち」深田萌絵)、半導体企業がくるのであれば四国内での消費電力が急増する為、安定的に事業用電力を確保するには蓄電所の存在が不可欠となることでしょう。そこに当社が事業として参入できるかどうかは分かりませんが、その期待をもって年越しをしたいと思います。